第5章

Swear To Sword

第6節 邪竜の野望

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めげないアポトリスを先頭に、パーティーは入り組んだ通路をさらに進んでいく。途中にあった数々のワナもくぐり抜け、パーティーはついに三つ目の扉に行き着いたのであった。
アポトリス 「今度こそ、ヘイ、おまたせ~!!!」
GM 「『ほほう、ようやく来たか』と低い声が聞こえてきた」
レイバー 「赤毛の男?」
GM 「そのとおり。例のごとく赤い鎧をまとった、全身炎の塊のような男が立っている。ちなみに『ファイヤーブリンガー』とは別に、腰に真っ赤な大剣を下げている」
レイバー 「単刀直入に、『ファイヤーブリンガー』を返してもらおうか!」
ダグラス 「そうだ!すでにてめぇの正体は、ばれているんだ!えーと、ベル・・・なんだっけ、ほら、あの竜の名前?」
ハイエスタット 「ベルヴェイグですよ!ベルヴェイグ!」
ダグラス 「そう、それだ、それ!貴様ハ虫類の分際で、『ファイヤーブリンガー』を悪用するつもりだな、おい!?」
GM 「すると彼はニヤッと笑って『そんな小物にもう用はない。勝手に持っていくがいい』と言って、宝剣を返してくれたよ(笑)」
一同 「あれ?」
ダグラス 「じゃあ何でさっき奪っていったんだ!? いったい貴様の目的はなんなんだ!!?」
GM 「『私には私の理由があるのだよ。貴様ら人間共の知った事ではないわ!このブタウジムシめが!!』」
バルガルギルズ 「ブタウジムシぃ~!?」
レイバー 「むっ!なんなんだ、人の物盗んどいてその言い草は!?」
アポトリス 「やめとけよ。こいつ相手に勝てるかよ~」
ハイエスタット 「赤毛の男は今の僕達ではかなわないでしょうからね。レベルが上がってから再戦するという事で、ここは穏便にいきましょう」
ダグラス 「渋々引き下がろう」
GM 「出口はないよ」
レイバー 「え!? どういうことだ、これは!?」
GM 「『洞窟は長いからな。入口までテレポートしてやろうというのだよ』」
バルガルギルズ 「ちょっと待て!最後のボスを目の前にしてこれはどういうことだ! 戦闘はしねぇのか!! そんなこと、神が許してもオレが許さん!!!」
アポトリス 「だからこいつは強いんだってば」
ハイエスタット 「そうですよ、どうせ魔法でテレポートさせられちゃうし」
GM 「しばらくすると、みんな闇に包まれたよ~ん。んでね、皆さんの頭の中にそいつの声が響いてきたよ。『もうすぐ人間達は愚かな戦を始め、自らを破滅の運命へと導くのだ。さすればまた我らの支配に屈することになるのだ。最強の力はこの手にあるのだ~!ワッハッハッ~!』その声が止むと、皆さんは洞窟の入口付近に出たことに気づく」
アポトリス 「なんか危ない事言っとるぞ~、あのおっさんは」
レイバー 「気になるなぁ。だいたい何で宝剣を、あんなあっさり返してくれたんだろ?」
ダグラス 「もしかして偽物なんじゃねぇの、こいつ!?」
GM 「いや、正真正銘の本物だよ」
ハイエスタット 「ちょっと思ったんですけど、もしかして『フレイムマスター』とかいう魔剣の封印をとくために、奪ってったんじゃないんですかね?」
ダグラス 「あぁ、なるほど!そういうことか!」
レイバー 「え?どういう事よ?」
ハイエスタット 「ほら、前にGMが言ってたじゃないですか。『ファイヤーブリンガー』は『フレイムマスター』の封印をとくために創られたおまけだとかなんだとか・・・」
GM 「うん、言ったよ」
バルガルギルズ 「だとすれば、封印をとくという目的さえ果たせば『ファイヤーブリンガー』は用済みってわけだ」
ダグラス 「そうだよ、そうに違いない!真っ赤なグレートソード持ってるとか言ってたしな。それが『フレイムマスター』とかいう魔剣だったんじゃねぇか?」
ハイエスタット 「結局全て推論ですけど、あいつは邪竜ベルヴェイグで、封印された『フレイムマスター』を持っている。そしてその封印をとくために『ファイヤーブリンガー』を奪っていった。そう考えれば全てのつじつまが合いますね」
レイバー 「でも神様しか持てないんじゃなかったっけ? その魔剣?」
アポトリス 「いや、このGMの事だから、竜なら使えるとか言いかねないでしょ」
レイバー 「それが本当なら、やばいじゃん。かなり強力な魔剣なんでしょ」
GM 「うん。完全体なら、このルガーナ島全土を焼き尽くすぐらいの力はあると言われている」
レイバー 「えぇ~!!? それ絶対やばいよ!!! なんとしてでもあいつの野望を阻止しないと!」
ダグラス 「わかっちゃいるけど、話がでかすぎてオレ達じゃあどうしようもない。とりあえず帰ろうぜ」
アポトリス 「その前にオレはグリフォンの卵を・・・(笑)」
ダグラス 「わかった、わかったよ、すっかりわかったからさ。とにかく公都についたら剣を渡す!」

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